お世話になった上司を新幹線のホームで見送った日|そういう人に巡り会えた自分は運がいい

昭和と人生後半戦

先日、お世話になった上司の送別会がありました。

退職して、故郷の熊本へ帰られることになったのです。

私が一番お世話になったのは、30代後半から40代にかけてでした。

仕事のことだけではありません。

人との接し方や、物事の考え方。

振り返れば、たくさんのことを学ばせてもらいました。

そして何より忘れられないのは、私が厳しい立場に置かれたときです。

そんなときも、いつも私の味方でいてくれました。

仕事をしていると、厳しい時期もある

30年近く会社で働いていると、ずっと順調だったわけではありません。

自分では正しいと思っていても、思うようにいかないことがあります。

周囲との考えが合わないこともあります。

立場が変われば、責任も増えます。

そんなとき、誰か一人でも、

「大丈夫だ」

とこちら側に立ってくれる人がいる。

それだけで救われることがあります。

この上司は、私にとってそういう人でした。

何でも肯定してくれたわけではありません。

違うことは違うと言われました。

でも、本当に苦しいときには味方でいてくれた。

今になって思うと、それはとても大きなことだったと思います。

30代、40代に教えてもらったこと

若い頃は、仕事は自分の力で覚えていくものだと思っていました。

もちろん、自分で経験しなければ身につかないこともあります。

でも、40代を過ぎて振り返ると、自分一人でここまで来たわけではありません。

「あの人から教えてもらったな」

と思うことが、いくつもあります。

仕事の進め方だったり、人への向き合い方だったり。

何か問題が起きたときの立ち居振る舞いだったり。

当時はそれほど意識していなかったことが、今の自分の中に残っています。

人から受け取ったものというのは、何年もたってから気づくものなのかもしれません。

熊本で始める新しい暮らし

今年に入り、奥様を亡くされました。

そして今回、仕事を辞めて故郷の熊本へ戻られます。

ご実家を自分で手を入れながら直し、これからは晴耕雨読のような生活を送りたいと話されていました。

畑をやり、本を読み、自分の時間を過ごす。

長く仕事をしてきた人が、仕事から離れて新しい暮らしを始める。

50代になった私には、その話が以前とは少し違って聞こえました。

退職は終わりではなく、次の生活の始まりでもある。

会社とは別の場所に、自分の時間が続いていく。

そんな生き方もあるのだと思いました。

新幹線のホームで涙が出た

送別会のあと、新幹線まで見送りました。

いよいよ出発する時間になり、ホームで見送っていると、涙が出ました。

自分でも少し驚きました。

長い間お世話になったこと。

もう同じように会うことはなくなること。

いろいろなことが一気に浮かんだのだと思います。

50代になって、仕事で人を見送って泣くとは思っていませんでした。

でも、悲しいだけではありませんでした。

「この人に会えてよかったな」

という気持ちの方が強かった気がします。

そういう人に巡り会えた自分は運がいい

会社には、いろいろな人がいます。

気が合う人もいれば、そうでない人もいます。

仕事だから付き合ってきた人もいます。

でも、何十年も働いている中で、

「この人に出会えてよかった」

と思える人が何人かいる。

それは、かなり幸運なことなのかもしれません。

仕事人生を振り返ったとき、役職や給料だけが残るわけではありません。

苦しいときに助けてもらったこと。

教えてもらったこと。

味方でいてもらったこと。

そんな記憶も残ります。

熊本での新しい暮らしが、その人らしい穏やかな時間になればいい。

新幹線を見送りながら、そう思いました。

そして改めて思います。

そういう人に巡り会えた自分は、運がよかった。

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