親の介護が始まると、家族の役割はどう変わるのか|父と母、二人の介護で感じたこと

親と家族

親の介護は、ある日突然すべてが始まるわけではありません。

最初は、少し手伝う。

できなくなったことを補う。

病院へ付き添う。

そんなところから始まります。

わが家の場合、最初に介護が必要になったのは父でした。

父の生活を支えていたのは、母です。

食事を用意したり、身の回りのことをしたり。

夫婦ですから、それまでの暮らしの延長として始まったのだと思います。

ところが、その母にも認知症の症状が出始めました。

それまで父を支えていた母が、少しずつ支えられる側になっていった。

そこで、父の日常生活を支える役割が、私たち夫婦へ移ってきました。

介護は、一人の親だけの問題ではありません。

家族全体の役割まで変えていく。

二人の介護を経験して、そう感じるようになりました。

最初は、母が父を支えていた

父に介護が必要になった頃、私ももちろん関わっていました。

ホームヘルパーさんにも来てもらい、入浴などをお願いしていました。

ただ、毎日の生活はそれだけでは回りません。

食事。

身の回りのこと。

ちょっとした対応。

何かあったときの判断。

そうした日常の細かな部分は、母が支えていました。

当時の私は、

「父の介護」

として見ていたと思います。

でも実際には、母の負担の上に成り立っていた部分が大きかった。

そのことに、十分気づいていたかと言われると、自信がありません。

母が支える側から、支えられる側になった

その母に、認知症の症状が出始めました。

少しずつ、これまでできていたことが難しくなる。

父を支えることも、以前のようにはできなくなる。

ここで介護の形が変わりました。

父を支えていた人が、今度は支えられる側になる。

すると、その役割は別の家族へ移ります。

わが家では、それが私たち夫婦でした。

介護というのは、

「誰かができなくなったことを、別の誰かが引き受ける」

その繰り返しなのだと思います。

そして、その役割は思っている以上に自然に移っていきます。

実際に多く動いていたのは妻だった

私も父の介護には関わっていました。

ただ、現実には仕事があります。

家にいない時間もあります。

その隙間を埋めてくれたのが妻でした。

食事を用意する。

日常の細かなことを見る。

何かあれば対応する。

父だけでなく、認知症が進み始めた母のことも気にかける。

振り返ると、妻は私の両親二人の生活を支える側に回っていました。

自分の親です。

妻にとっては義理の父と母です。

当時の私は、目の前の介護をどう回すかに意識が向いていて、

「誰がどれだけ動いているか」

まで十分に見えていなかったのだと思います。

「手伝ってもらう」と「担ってもらう」は違う

介護は、一度だけお願いすれば終わるものではありません。

今日だけ。

今週だけ。

という話ではありません。

何度も続きます。

連絡がある。

予定を変える。

食事を用意する。

必要なものを準備する。

その一つひとつに、誰かの時間が使われます。

最初は、

「少し手伝ってもらっている」

という感覚だったかもしれません。

でも、それが続けば、もう「手伝い」ではありません。

その人が介護の一部を担っています。

自分の親だからこそ、この違いをきちんと見なければいけなかった。

今はそう思います。

「家族だから当然」にすると、負担が見えなくなる

妻から、

「もう無理」

と強く言われた記憶はありません。

だからこそ、私は余計に気づきにくかったのかもしれません。

やってくれている。

何とかなっている。

だったら大丈夫。

そんなふうに思っていた部分もあったと思います。

でも、

「やってくれている」

ことと、

「負担がない」

ことは違います。

介護では、この違いを見落としやすい。

家族だから。

配偶者だから。

近くにいるから。

時間があるから。

そういう理由で、誰か一人に負担が集まっていくことがあります。

そして、その人が何も言わなければ、周囲は「うまく回っている」と思ってしまう。

介護される親だけではなく、その隣で動いている人を見る。

これはとても大切だと思います。

家族だけで抱え続けるのにも限界がある

父の介護がさらに難しくなったあと、わが家は施設への入所を決めました。

その後、母についても施設を考えることになります。

施設にお願いすることには、当然迷いもあります。

でも、家族だけで介護を抱え続けることにも限界があります。

本人が安心して暮らせること。

家族の生活も続けられること。

その両方を考えなければならない。

施設にお願いすることは、

「家族が介護をやめる」

ことではありません。

家族だけでは担えない部分を、専門の人に支えてもらうことです。

二度の介護を経験して、そう考えるようになりました。

親の介護は、家族の関係まで映し出す

介護が始まると、普段は見えにくい家族の役割がはっきりします。

誰が動くのか。

誰が判断するのか。

誰が負担を引き受けるのか。

誰が感謝するのか。

誰がそれを当然だと思ってしまうのか。

介護は、親の状態だけではなく、家族の関係も映し出すのだと思います。

私自身、自分の親の介護に妻が深く関わるようになって、初めて気づいたことがたくさんありました。

介護は、親と子だけの問題ではありません。

配偶者にも影響する。

家庭全体にも影響する。

だからこそ、誰か一人の頑張りで成り立たせないことが大切です。

親の介護が始まる前に、少しだけ考えておきたい

親が元気なうちから、

「もし介護が必要になったら、誰が何をするか」

まで細かく決めるのは難しいと思います。

そのときにならなければ分からないことも多い。

でも、

誰か一人に任せきりにしない。

配偶者が動くことを当然にしない。

家族だけで無理なら、外の力を借りる。

そのくらいの考えは持っておいた方がいいと思います。

介護は、親の生活だけを変えるものではありません。

家族の生活そのものを変えます。

だからこそ、

誰がどれだけ担っているのかを、見えなくしないこと。

父と母、二人の介護を経験して、私はそう思うようになりました。

自分の親の介護を妻が担うようになって、気づいたこと

今回の記事では、父と母の介護を通して、家族の役割がどう変わっていったのかを書きました。

その中で、私自身が一番考えさせられたのは、自分の親の介護を妻が多く担っていたことでした。

「自分の親なのに、妻にここまで任せていいのだろうか」

「家族だからお願いして当然、になっていなかっただろうか」

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そのときに感じたことは、もう少し個人的な話としてnoteに書いています。

note「自分の親の介護を、妻が担うようになって気づいたこと」を読む

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