理不尽しかない時代だった。|岩瀬仁紀さんと福留孝介さんの話を聞いて思ったこと

昭和と人生後半戦

中日ドラゴンズのレジェンドOB、岩瀬仁紀さんと福留孝介さんのトークショーを見に行った。

岩瀬さんは1974年生まれ。

福留さんは1977年生まれ。

ともに1998年のドラフトで中日に入団した。

1位が福留さん。

2位が岩瀬さん。

逆指名制度があった時代である。

話題は、入団当時の練習や上下関係についてだった。

監督やコーチに言われたことをやる。

理由は聞かない。

「いいえ」とは言えない。

理不尽しかない。

二人は、そんな時代だったと振り返っていた。

今なら問題になることも多いだろう。

ただ、当時はそれが特別ではなかった。

そういう時代だった。

質か量か

印象に残ったのは、「質か量か」という話だった。

岩瀬さんは、一年目にとにかく量をやらされたと話していた。

そして、その経験があったからこそ、長くやってこられたという。

今は、効率やタイパが重視される。

無駄を減らし、短い時間で成果を出すことが求められる。

昔のように、理由もなく量だけをやらせる方法が正しいとは思わない。

理不尽を美化する必要もない。

ただ、量を経験しなければ分からないこともあるのだと思う。

繰り返したから身についた感覚。

失敗を重ねたから分かる修正の仕方。

考えなくても体が動くまで続けた経験。

それらは、効率だけでは簡単に手に入らない。

1970年代生まれが通ってきた道

二人の話を聞きながら、1970年代生まれの自分たちも似た時代を通ってきたと思った。

昭和に育ち、平成で働き始めた。

まずやれ。

見て覚えろ。

言われたことに逆らうな。

そんな空気は、野球の世界だけではなかった。

もちろん、戻りたいとは思わない。

もっと早く変わるべきだったこともある。

それでも、あの時代をすべて無駄だったとは言い切れない。

量をこなしたから、あとで質が分かる。

理不尽の中で踏ん張ったから、簡単には折れなくなった。

岩瀬さんの言葉は、昔の練習を肯定する話というより、積み重ねた時間は消えないという話に聞こえた。

昔のやり方を残す必要はない

今の若い世代に、同じ苦労をさせる必要はない。

理不尽な上下関係も、意味のない長時間練習も、残さなくていい。

けれど、効率だけを求めて、量を避けすぎるのも違うのかもしれない。

質と量は、どちらか一つではない。

量を重ねる時期があり、その中から質が生まれる。

二人の話を聞いて、そんなことを考えた。

理不尽しかない時代だった。

それでも、その時代を生き抜いた人たちには、簡単には消えない強さがある。

1970年代生まれ。

遠回りは多かった。

けれど、その時間まで否定する必要はないのだと思う。

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