先日、ココイチでカレーを食べました。
全国どこにでもあるチェーン店です。
特別に高級な料理でもありません。
それでも私にとって、ココイチのカレーには、ほかの店にはない思い出があります。
小学生の頃、家にあったファミコンが壊れました。
今のように、インターネットで故障の原因を調べたり、宅配便で修理に出したりする時代ではありません。
母と一緒に、任天堂の支社か、修理を受け付けている場所までファミコンを持っていきました。
正確な場所は、もう覚えていません。
どの電車に乗ったのか。
どれくらい時間がかかったのか。
ファミコンがどのように直ったのか。
細かいことは、ほとんど忘れてしまいました。
それでも、帰りに母とココイチへ寄ったことは、今でも覚えています。
忙しい母と二人で食べたカレー
母は看護師でした。
仕事が忙しく、母と二人でゆっくり出かける機会は、それほど多くありませんでした。
もちろん、家では毎日顔を合わせていました。
食事も作ってもらいました。
大切に育ててもらったことも分かっています。
ただ、子どもにとっては、母親を独り占めできる時間は少し特別です。
ファミコンの修理は、母にとっては面倒な用事だったと思います。
仕事の休みを使い、壊れたゲーム機を持って出かける。
母からすれば、楽しい休日ではなかったかもしれません。
それでも私には、母と二人で出かけた一日として残っています。
そして、その帰りに食べたのが、ココイチのカレーでした。
どんなカレーを頼んだのかは覚えていません。
辛さも、トッピングも思い出せません。
ただ、おいしかった。
そして、うれしかった。
カレーの味そのものより、母と一緒に食べていることがうれしかったのだと思います。
思い出の味は、料理だけでは決まらない
大人になってから、いろいろなカレーを食べました。
専門店のカレー。
スパイスの利いたカレー。
ホテルのカレー。
家で作るカレー。
味だけを比べれば、もっと手の込んだカレーはいくらでもあります。
それでも、ココイチに入ると、あの日のことを思い出します。
店内の匂い。
テーブルに置かれた水。
母と向かい合って座った感覚。
記憶は、料理の味だけで残るものではないのでしょう。
誰と食べたか。
どんな一日だったか。
そのとき、自分がどんな気持ちだったか。
そうしたものが全部混ざって、一つの味になります。
だから、どこにでもあるチェーン店のカレーが、誰かにとっては忘れられない料理になるのだと思います。
親になって分かったこと
自分が親になってから、あの日の母のことを考えるようになりました。
子どもを連れて出かけることは、親にとっては日常の一部です。
用事を済ませる。
食事をさせる。
家へ帰る。
忙しい毎日の中では、その一日を特別だと思う余裕などないこともあります。
母にとっても、何気ない一日だったのかもしれません。
けれど、子どもにとっては、その何気ない一日が何十年も残ることがあります。
私は、母があの日のことを覚えているのか知りません。
ファミコンを修理に持っていったことも、帰りにカレーを食べたことも、すぐには思い出さないかもしれません。
でも、私には残っています。
忙しい母が、自分のために時間を使ってくれたこと。
帰りに二人でカレーを食べたこと。
それだけで、十分に特別な一日でした。
今は株主として応援している
今では、私は壱番屋の株主です。
株主として会社を応援し、株主優待が届くのを楽しみにしています。
優待券を使ってカレーを食べるとき、投資先の会社を利用しているという感覚だけではありません。
子どもの頃の思い出を、もう一度たどっているような気持ちになります。
投資を始めた理由は、もちろん思い出だけではありません。
それでも、数字だけでは説明できない気持ちがあります。
長く続いてほしい。
これからも、どこかの家族にとって特別な一皿であってほしい。
そんな思いで、株主として応援しています。
どこにでもある味が、人生の味になる
久しぶりに食べたココイチのカレーが、子どもの頃とまったく同じ味だったのかは分かりません。
店も違います。
一緒に食べる相手も違います。
私自身も、あの頃の母と同じくらいの年齢を過ぎました。
それでも、一口食べると、ほんの少し昔へ戻るような感覚があります。
小学生だった自分。
壊れたファミコン。
忙しかった母。
帰り道に二人で食べたカレー。
どこにでもある全国チェーンの味です。
けれど私にとっては、母と二人で過ごした時間の味でもあります。
特別な料理だから、思い出になるとは限りません。
何気ない日に、何気ない店で食べた一皿が、その人の人生の中では特別な味になることがあります。
私にとってココイチのカレーは、今も母との時間を思い出させてくれる、特別な味です。
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50代の家族・仕事・お金について、もう少し個人的な実体験はnoteでも書いています。
→ note「昭和とAIのあいだ|実体験ノート」を読む


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