店を持つ夢は、実店舗でなくてもよかった

働き方・副業

若い頃、「いつか自分の店を持ちたい」と思っていた。

思い浮かべていたのは、通りに面した小さな店だった。

看板があり、棚に商品が並び、お客さんが扉を開けて入ってくる。

店を持つとは、場所を借り、内装を整え、毎日そこへ立つことだと思っていた。

けれど今、家族で小さなネットショップを運営している。

実店舗はない。

それでも商品を仕入れ、棚に並べ、注文が入れば梱包して発送する。

レビューが届き、繰り返し購入してくださる人もいる。

気がつけば、思い描いていた形とは違うものの、私たちはすでに店を持っていた。

実店舗を見に行ってみた

先日、私たちと同じような商品を扱う店へ行った。

正直に言えば、にぎわっている街にある店ではない。

訪れたのは平日の昼間だった。

店内に客はほとんどおらず、店員は一人だった。

その店員は、注文書のような紙を見ながら、商品棚から品物を選び、カゴへ入れていた。

ネットから入った注文の商品を集めていたのかもしれない。

その様子を見て、実店舗があっても、販売の中心はネットへ移っているのではないかと思った。

もちろん、一度見ただけで、その店の経営までは分からない。

それでも、店頭で客を待つより、棚から商品を集めて発送する時間の方が長い店もあるのだろう。

やっていることは、それほど変わらない

考えてみれば、私たちの店にも商品棚がある。

仕入れた商品を在庫として並べている。

注文が入れば、棚から商品を取り出す。

内容を確認し、梱包して発送する。

あの店員がしていたことと、それほど変わらない。

違うのは、通りに面した店舗を開けているかどうかだ。

実店舗があれば、来店した人にも商品を売れる。

実際の商品を手に取ってもらえる。

看板を出し、店の存在を地域の人に知ってもらうこともできる。

一方で、家賃がかかる。

店員を置けば人件費がかかる。

電気代や設備費も必要になる。

客が来ない時間も、店を開けておかなければならない。

私たちのような小さな店にとって、その固定費は軽くない。

店を作るのは建物ではなかった

ネットショップを始めた頃は、「店を持った」という実感がなかった。

画面に商品を登録しただけだった。

棚も看板も、通りすがりのお客さんもいない。

注文も、すぐには入らなかった。

それでも、少しずつ写真を整えた。

商品の組み合わせを考えた。

送料を決めた。

Instagramで商品のことを伝えた。

問い合わせに答え、梱包を工夫した。

続けているうちに、画面の向こうにも店の雰囲気ができていった。

ネットショップには接客がないと思っていた。

しかし、問い合わせへの返信にも、発送の早さにも、梱包にも、その店らしさが出る。

同じ商品を売っていても、どこから買っても同じではない。

またこの店で買いたいと思ってもらえるかどうかは、価格だけでは決まらない。

店を作るのは、壁や床や棚ではなかった。

商品を選ぶこと。

見せ方を考えること。

約束を守ること。

お客様との信頼を積み重ねること。

それが店なのだと、運営を続けて分かった。

実店舗が必要な店もある

実店舗が不要だと言いたいわけではない。

商品を直接見てもらう必要がある店。

接客そのものに価値がある店。

地域とのつながりが大切な店。

店舗を持つ意味は、今もある。

ただ、店を持つことと、実店舗を持つことは、同じではなくなった。

商品を置く場所は必要でも、客を待つための店舗まで必要とは限らない。

店頭販売で得られる売上と、家賃や人件費などの固定費。

その両方を考えたうえで、自分の商売に店舗が必要なのかを決める時代なのだと思う。

夢は形を変えてかなう

今でも、小さな実店舗には憧れる。

自分で選んだ商品を棚に並べ、お客さんと直接話す。

そんな店を持てたら、きっと楽しい。

けれど、実店舗でなければ夢がかなわないとは、もう思わなくなった。

ネットショップなら、会社員を続けながらでも始められる。

大きな固定費を抱えず、小さく試すことができる。

売れなければ、商品や店の形を見直すこともできる。

昔の私が想像していた店とは違う。

それでも、商品を選び、注文を受け、お客様へ届け、もう一度来てもらっている。

店を持つ夢は、実店舗でなくてもよかった。

思い描いた形とは違ったけれど、その夢はもう始まっていた。

私たちがネットショップを始める前に準備したものや、実際に使っているサービスについては、別の記事にまとめています。

ネットショップを始める前に準備したもの
ネットショップの仕入れサイト3社を比較|3年運営して分かった連携の大切さ
BASE・STORES・Shopifyを比較|小さなショップに向いているのはどれ?

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