AIが仕事を奪う。
そんな話を聞く機会が増えた。
ニュースでも取り上げられるし、職場でも話題になる。
確かに、そうした変化は起きているのだろう。
文章を書く。
資料を作る。
情報を集める。
これまで人が時間をかけてやっていたことを、AIは短時間でこなしてしまう。
私もChatGPTを使っている。
使えば使うほど、その能力に驚かされる。
以前なら数時間かかっていた作業が、短時間で形になることもある。
便利なのは間違いない。
けれど、実際に使っていて思うことがある。
私が怖いと思うのは、AIそのものではない。
本当に怖いのは、積み重ねてきた経験が活かされなくなることだ。
50代になると、知識より経験の方が増えていく。
現場での失敗もある。
成功体験もある。
人との関わりもある。
その30年におよぶ蓄積こそが、本来は大きな資産だ。
ところが、経験はそのままでは価値にならない。
頭の中に眠ったままでは、誰にも伝わらない。
自分自身ですら活かしきれない。
これまでは、その経験を形にすること自体に、多くの時間と労力が必要だった。
AIを使うようになって感じるのは、経験の価値が下がったのではなく、むしろ上がったということだ。
AIは経験を作ってくれない。
けれど、頭の中にある経験を整理し、構造化し、伝わる形にすることは手伝ってくれる。
出力の速度が劇的に変わる。
だから私が本当に怖いのは、AIによって仕事を奪われることではない。
30年かけて積み上げた経験という資産を持ちながら、それを活かす道具を使わず、資産を眠らせたままにしてしまうことだ。
人生後半戦は、新しい知識を集める競争ではない。
これまで積み上げてきた経験を、どう価値に変えるかの競争だ。
AIは、そのためのレバレッジになり得る。
少なくとも私は、そう考えている。

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